腕の脱力を伴う首と肩の痛み(40代女性 大学講師)
来院者
40代女性 大学講師
通院期間
2019年8月〜 約1ヶ月
頻度
週2〜3回
通院回数
6回
症状
2月ころより、右肩に薄っすらと軽い痛みがあったが、日常生活や、仕事には、影響がないため、病院など、医療機関にはかからず、様子をみていた。
その後、5月。仕事でパソコン作業を長時間行った翌日、右肩に激しい痛みが起こった。
痛みのために右肩に力が入らず、脱力したようになる。肩以外に、首から腕・背中・脇の下、鎖骨の下の痛みがある。
背中に腕を十分に回すことができず、夜、就寝後に痛みが強くなるため、睡眠が十分にとれない。
9月に転勤で移動があり、それまでに、せめて夜だけでも眠れるようになりたいと問い合わせを受け施術を開始。
過去の病気:6年前に頚椎ヘルニア
施術と経過
初回
肩の症状以外に、腕や首の痛みがあることから、肩関節の問題だけではなく、6年前の頚椎ヘルニアの影響も考え、首から背中、肩の状態を丁寧に確認。
肩は、背中に腕を回す姿勢が特にやりずらく、特に肩関節の前後、脇に痛みが走る。
首は右を振り向く動作で左右の首筋〜背中にかけて痛む。
肩関節の運動軸を整える目的で、足と腰のツボに鍼を打つ。
経過:特に変化なし
2〜3回目
初回後、痛みに変化がなし。関節の可動域はわずかではあるが、広がりが観察できた。
2回目:ふくらはぎのツボ2箇所に処置を加えると、直後より、後ろに手を回しやすくなる。
3回目:脇の痛みを改善する目的で、脛(スネ)のツボに鍼を打つ。
経過:施術後、肩の痛みは軽減し、夜は眠れるようになる。しかし、日中は少し肩を動かすだけでも、首〜背中、肩〜腕にかけて痛むことがある。
4〜5回目
肩関節の問題だけではなく、過去の頚椎ヘルニアによる影響が大きいと考え、胸椎の脇にある反応点に鍼を行ったところ、首を回す動作による痛みが半減。
後に、3回目までに鍼を打ったツボの中から、その日に反応があるところを2〜3箇所選び鍼を行った。
6回目
4〜5回目の施術で、胸椎周辺に鍼を行い、首の動きによる痛みが軽減してから肩の症状も5〜6割減。胸椎周辺の処置が必須と考え、6回目も鍼を行う。
その後:転勤による引っ越しにより、施術を中断。
肩関節の可動域を広げるストレッチを指導し、転勤先の近くの鍼灸院を紹介して終了となった。
使用したツボの一例
志室R 申脈R 地機R 飛揚R 築賓R T5(0.5)L
まとめ
五十肩(四十肩)は関節の痛みや運動制限だけではなく、時に夜間痛を伴うため、生活や仕事に与えるストレスは非常に大きい。
本症例は過去に患った、頚椎ヘルニアの問題が肩の症状に影響していると考え施術方針を変更してから、それまで一進一退だった、症状に改善の兆しがみられた。
その後転勤により施術は中断されたが、転院先で回復することを願って止まない。