朝、足をつくのが怖い──踵と土踏まずの痛みに鍼灸でアプローチした症例
朝、ベッドから起き上がって、床に足をついた瞬間。
「いた……」
そのまま足を引いてしまった、という経験はありませんか?
今回ご紹介するのは、そんな踵と土踏まずの痛みに、1年以上悩まれていた50代の女性のケースです。
病院にも行った。インソールも作った。でも……
この方が来院されたとき、すでに色々と試されていました。
病院で「足底筋膜炎」と診断を受け、痛み止めも処方された。オーダーメイドのインソールも作った。でも、なかなか改善が感じられない。
そんなふうに困っていたところ、友人に鍼灸を勧められて来院されました。
症状は、両足の裏──土踏まずから踵にかけての痛みで、特に朝の歩き出しがつらい状態でした。
「膝から下がよくつる」──そのひと言がヒントに
問診をしていると、もうひとつ気になることをおっしゃっていました。
「正座をすると、膝から下がよくつるんです」
これは大切なサインです。
踵の痛みというと、足の裏だけに目が向きがちです。
でも実際には、アキレス腱やふくらはぎの慢性的な緊張が、足底の症状に深く関わっていることがあります。
「足の裏だけを見ない」──これが、このケースの出発点でした。
5回、2週間の経過
初回
アキレス腱のまわりを緩めることを目的に施術を行いました。
施術後、家路につく頃には、「足が軽くなった」とおっしゃっていただきました。ただ、翌日には元に戻ってしまったとのこと。
でもこれは、決して悪い兆候ではありません。「施術後に変化があった」という事実が、アキレス腱の硬さが症状に関わっているという大切な手がかりになるからです。
2〜4回目
初回で得た手がかりを信じ、2回目以降も同じアプローチを続けました。
すると、施術を繰り返す度に、朝の踵の痛みが、少しずつ和らいでき、4回目には、アキレス腱の硬さはかなり改善。
5回目
しかし、4回の施術後、今度は、足裏ではなく、ふくらはぎのこわばりを自覚するように…その日は、ふくらはぎを緩めることに重点を置いた施術を行いました。
施術後、ふくらはぎのこわばりが緩和し、土踏まずの痛みも軽くなっていきました。
一週間ほど様子をみてもらい、「日常生活で痛みを気にせず動けるようになった」との報告をいただいたため、ここで施術を終了としました。
通院期間:約2週間 / 頻度:週2〜3回 / 合計:5回
踵の痛みは「足だけの問題」じゃないことがある
今回のケースで改めて感じたのは、「痛みの場所=原因の場所」とは限らない、ということです。
踵や土踏まずが痛くても、そこだけを見ていても変化が出にくいことがある。足首の上につながっているアキレス腱、さらにふくらはぎの状態を整えることで、足底の症状が落ち着いていく──そういうケースが、実際に少なくありません。
「もうずっとこの痛みと付き合っていくしかないのかな」と思っていた方が、2週間で日常を取り戻されたこのケースは、私自身にとっても印象に残るものでした。
こんな方はご相談ください
- 朝の歩き出しに踵や土踏まずが痛む
- 病院でインソールを勧められたが改善しない
- 湿布や安静にしても繰り返す
- 正座すると膝から下がよくつる
症状には個人差があります。気になる方は、一度ご相談ください。
鍼灸専門 ゐろは鍼漢院 院長
2009年「ゐろは鍼漢院」開院 現在臨床暦20年以上。
「一本の鍼には、一人の可能性を広げる力がある」
を信条に日々奮闘中。
2012年より、「日本獣医中医薬学院」の専任講師として
今日まで、100人以上の獣医師の鍼灸教育に関わる。
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