転倒後1年以上、続く肩の痛み(40代 男性)
症状
ちょうど1年前に転倒して右肩を強打。以来、右肩を動かした時や夜間の痛みに苦しむ。
整形外科でレントゲン・MRI検査の結果、「骨には異常なし、四十肩」と告げられ、ヒアルロン酸注射を5回受けるも、症状が一向に改善しない。
他の解決方法はないかと、会社の同僚に相談したところ、「鍼灸がいいのではないか。」と言われ、鍼灸院を調べたところ、当院のことを知り来院。
来院者
40代 男性
通院期間
2019年5月〜2019年8月
頻度
週1~2回
来院者
16回
施術と経過
初回
屈曲(バンザイ)、外転(横から腕を上げある動作)、腰で帯を結ぶ動作で肩の前面と脇に痛みが起こる。また、可動域に制限があり。
それぞれの動きを改善する目的で、右ふくらはぎと足首に一本ずつ鍼を行ったところ、外転、屈曲の姿勢がわずかに取りやすくなる。
経過:施術した日の夕方までは、肩が軽く、夜間の疼きも少なく、数ヶ月ぶりによく眠れたという。翌朝には痛みが再燃し、肩の可動域も施術する前と同じに程度に戻る。
2~3回目
2回目、初回の施術に加え、肩の筋肉を緩める目的で肩と関連の大きい、臀部のツボに鍼を行う。
3回目、バンザイをした時、特に脇の痛みが、ここ2日間、特に気になる。
脇の症状にアプローチするために、脛にあるツボに鍼を行う。施術直後、脇の痛みがスーっと抜け、バンザイが楽にできるようになる。
経過:施術したその日は、痛みも8割り程度なくなり、動きもスムーズにできるようになる。夜も痛みに苦しむことなく眠れる。しかし、2日以内に、症状が再燃。
5~8回目
5回目、肩周辺を触ると、筋肉と関節の硬さが、初回より減少している傾向がしっかりと窺えたので、その後数回にわたり、同じ施術をおこなう。
経過:7回目あたりから、施術後の効果が5日間ほど継続するようになる。
9~15回目
9回目。8回目の施術後より、バンザイをした時の脇の痛みが消失。しかし、肩甲骨の外側に痛みを感じるようになる。
そこで、肩甲骨の外側のコリを確認し、関連のある腰のツボに鍼を行う。
その他の肩関節前面の痛みを軽減する目的で胸椎の周辺に反応点を見つけ、処置を加える。
経過:その後、肩の痛みは段階的に軽減し、可動域も徐々に増加。15回目、施術後には、帯を結ぶ動作時に肩の前面にうっすらと違和感がある程度になる。
16回目
関節の可動域は完全ではないが、日常生活と仕事が支障なくできるため、それまでと同じ施術を行い、再発予防のエクササイズを指導して施術を終了とした。
使用したツボの一例
T2(1)R・巨骨R・承山R・足太陽R・T4(1.5)R・聚労R・地機R
まとめ
五十肩(四十肩)の発症の原因は、未だわからない点が多いとされているが、本症例のように、転倒など、外傷をきっかけに発症するケースに時々遭遇する。
そのような場合でも、骨折や、腱の損傷など器質的な問題がなければ、関節の動きを正すように施術を行うことで徐々に改善するケースがあることを知ってほしい。