我孫子市・柏市のはりきゅう専門院

逆流性食道炎の咳・喉のつまりが、薬だけでは楽にならないとき──50代女性の鍼灸ケース

" 症状について, 症例 "

2026年7月8日

食事のあとや、朝、目が覚めたとき。喉の奥がキュッとつまる感じがして、そのまま咳がこみ上げてくる……。

そんな喉のつまり・胸焼け・咳に、何年も悩まされている方はいらっしゃいませんか。

こんにちは。はり・きゅう専門院 ゐろは鍼漢院 院長の池内です。

今回ご紹介するのは、逆流性食道炎による喉のつまりと咳・吐き気に、3〜4年悩まれていた50代女性のケースです。

この記事の要約

  • 3〜4年来の逆流性食道炎で、喉のつまり・胸焼け・咳・吐き気に悩む50代女性のケース。
  • 「呼吸器」と「消化器」は、共に横隔膜(おうかくまく)の影響を受ける
  • 首こり・背中の張り感・浅い呼吸に着目し、手足のツボを使って施術。
  • 週1回・計8回で症状が落ち着き、現在は月1回のメンテナンスに。
    ※症状には個人差があります。

この記事を書いた人

池内 公(いけうち いさお)/ゐろは鍼漢院 院長。はり師・きゅう師。病院勤務で内科・整形外科・耳鼻科などの現場を経験し、臨床歴20年以上。「一本の鍼には、一人の可能性を広げる力がある」を信条に、千葉県我孫子市で施術を行っています。

「薬を飲んでも、今年は咳がおさまらない」──50代女性のケース

この方が当院に来られたのは、9月のことでした。

3〜4年前から逆流性食道炎があり、胃酸が逆流するせいか、喉が焼けるような感じがして咳が出る——そんな状態が続いていました。毎年、春から夏にかけて症状がひどくなるものの、これまではお薬を飲むと咳は落ち着いていたそうです。

ところが今年は、春先に風邪をひいてから、様子が変わりました。その後、咳と痰、そして吐き気に悩まされるようになり、9月に来院された時点でも、症状はほとんど変わっていませんでした。

とくにおつらいのは、1日の中でも朝方と、夜の就寝前。横になる時間帯に、喉のつまりや咳がぶり返してしまう、とのことでした。

「呼吸器」と「消化器」の関係

喉の症状だから呼吸器の問題、胃酸の逆流だから消化器の問題——別々のことのように思えますよね。

ですが当院では、「呼吸器」と「消化器」は、間にある横隔膜(おうかくまく)の影響を強く受けると考えています。

横隔膜は、胸とお腹を隔てる、呼吸の中心になる大きな筋肉です。ストレスがたまったり、首のこりや背中のはり、姿勢のくずれがあると、この横隔膜の動きが制限され、呼吸が早く浅くなっていきます

そして横隔膜は、ちょうど食道が貫くように通っている場所でもあります。横隔膜が上下に動くたびに、その動きが食道やお腹の中をやさしくもむような刺激になり、消化器の働きを助けている——と私達は考えています。

肺(呼吸器)も、胃(消化器)も、どちらもこの横隔膜と隣り合わせにあります。実は興味深い事に、東洋医学でも、五臓六腑(ごぞうろっぷ)の考え方の中で、肺と胃は古くから密接な関係にあるととらえられてきました。

だからこそ、症状が慢性化しているときほど、「悪いのは呼吸器(肺)だけ」「消化器(胃腸)だけ」と、どちらか一方に決めきれないことのほうが、むしろ多いのではないか—私達は日々の臨床から、そのように感じています。
実際に喉や胃のどちらか一方の症状しかなくても、呼吸と消化の両方を、そして横隔膜の動きを整えることで良い結果につながることも少なくありません。

つらいのは喉や胃なのに、なぜ「手足」に鍼を打つのか

この方への初回の施術は、呼吸器と胃腸の両方を整える目的で、手足のツボに鍼をしました。

「つらいのは喉や胸なのに、どうして手足に?」と思われるかもしれません。使ったのは、昔から次のような働きで知られてきたツボです。

  • 合谷(ごうこく)……手の甲、親指と人差し指の骨が合わさるあたりにあるツボ。首・肩・喉の状態を整えるとされ、風邪をはじめ呼吸器の症状に古くから使われてきました。
  • 太衝(たいしょう)……足の甲、親指と人差し指の骨の間にあるツボ。喉に何かつまったような感じ(ヒステリー球)など、喉の症状に用いられます。
  • 足三里(あしさんり)……膝の下、すねの外側にあるツボ。古来、消化器の働きを整える代表的なツボとして知られています。

こうしたツボは、全身に数多くあります。鍼灸学校で学ぶだけでも、その数は360以上。どれも、遠い昔の人たちが「ここを使うと、あの不調がやわらぐらしい」と、気の遠くなるような試行錯誤の末に見つけ出し、名前をつけ、今日まで伝えてきたものです。

西洋医学が「エビデンス(科学的根拠)に基づく医学」だとすれば、東洋医学は「経験に基づく医学」と言えるのかもしれません。たとえば、風邪の生薬として何千年も使われてきた麻黄(まおう)から、明治時代に「エフェドリン」という成分が見つかったように——長い経験の中で受け継がれてきたものが、あとになって科学で裏づけられることもあります。ツボの効能も、いつか科学の言葉で解き明かされる日が来るのかもしれませんね。

施術ベッドで手と足に鍼を受け、リラックスする女性のイラスト

痛い場所に直接鍼をするのではなく、離れた手足から呼吸器・消化器を整えていく——それがこの方への施術の考え方でした。

施術の経過

初回の施術の翌日から、4日間ほど咳が落ち着きました。ところが5日目になると、咳と痰がぶり返してきました。

そこで、同じ施術を週に1回のペースで続けていきました。すると、ぶり返しの波はだんだん小さくなり、症状は少しずつ和らいでいきました。やがて、1週間を通してほとんど症状が出なくなったため、計8回の施術をもって、定期的な施術は終了としました。

現在は、再発を防ぐためのメンテナンスとして、月に1回のペースで通われています。

※症状の落ち着き方には個人差があります。

家族と一緒に穏やかに食事を楽しむ女性のイラスト

よくあるご質問

Q. 何回くらい通えば楽になりますか?
症状には個人差があるので、「何回で」とはっきりお伝えできないのが正直なところで、心苦しくもあります。ただ、比較的早くに変化が出る方の場合、3回ほど施術を受けるあいだに「少し前より楽かな?」という実感を、患者さんご自身が持たれることが多いように感じています。

Q. お薬はやめたほうがいいですか?
いいえ、自己判断ではやめないでください。私たち鍼灸師は、病院で出されたお薬について「やめてください」とお伝えする立場にはありません。また、お薬が鍼の効果を妨げたり、鍼がお薬の効果を下げたりすることはないと当院では考えていますので、併用の心配はいりません。気になることは、まず主治医の先生にご相談ください。

こんな方はご相談ください

  • 喉のつまり・違和感が、なかなか取れない
  • 胸焼けや胃酸の逆流とともに、咳や痰が出る
  • お薬を飲んでも、以前ほどすっきりしなくなってきた
  • 朝方や、就寝前に症状がつらくなる
  • 首こり・肩こり・背中のはりも気になる

上記のような症状でお悩みの方は、ひとりで抱え込まずに、一度ご相談ください。

ご予約はこちら

当院は完全予約制です。
ご予約・お問い合わせは、下の3つのいずれかから、お気軽にどうぞ。

受付時間:平日 9:00〜19:00/土曜 9:00〜17:00(日・祝休み)
※キャンセルは、予約日の2日前までにご連絡ください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

カテゴリー: 症状について, 症例.
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