我孫子市・柏市のはりきゅう専門院

月経困難症

※各症例の解説では分かりやすくするために、裸のイラストを使用していますが、実際の施術では患者着か衣服を着用しています。

また同じ病名や症状であっても効果には個人差があります。

来院者

30歳女性

通院期間

2018年10月~ 約3ヶ月

頻度

1週間~10日に1回

通院回数

7回

症状

来院する1年半前から、子供を授かりたいと願っているが、なかなか妊娠できない。

 

病院で、検査を受けるも、夫婦ともに、「特に問題はみつからない」と告げられる。

 

3ヶ月前より、タイミング法を試みるが結果が伴わないので、1週間前から、排卵促進剤(クラミッド)を処方された。

 

その後、薬だけではなく、東洋医学も試してみたと思い、来院に至る。

 

月経周期は毎月30±2日と概ね安定している。期間は約4日間。

 

生理の初日と2日目は、痛み止めの薬を飲む他、下腹部に、ほっカイロを貼らないと、寝込んでしまうほど辛い。

経血の色はどす黒く、血塊を伴う。

 

月経前は、食欲が増し、怒りっぽくなる他、腰が痛くなるなるが、月経後は不思議と体全体がスッキリする。

 

その他:睡眠 便通良好。 夜間に2回ほどトイレ(小水)に起きる。下肢の冷え(+)

施術と経過

「経血が黒く血塊が混じる。生理後に体がスッキリする」などの症状から、下腹部に※瘀血の存在を疑い、この瘀血が、骨盤内の血液の循環を妨げた結果、冷えや生理痛、そして妊娠しにくい環境を招いていると考えた。

 

施術方針:骨盤内の血液のめぐりをよくする。

 

※瘀血:東洋医学における、体を構成する基本的な要素「気・血・水」のうち血が滞ったもの。血は全身の細胞を栄養する働きがあるが、滞るとその役割を果たせないばかりか、痛みを始めとした、種々の症状を引きおこす。

西洋医学でいう「血栓」や「血塊」、「筋腫」などもこの瘀血として捉えれることが多い。

実態が目視できなくても、東洋医学の見立てでは、瘀血特有の症状があれば「瘀血あり」と判断する。

 

初回〜2回目

骨盤内の血液循環を促進する目的で、太ももの内側と足首の上にある、婦人科のツボに鍼をする。

 

その他、下腹部と、仙骨周辺のツボの中から、ツボの反応が顕著なものを選び灸をすえる。

 

経過:2回目の施術を受けその数日後に月経がおとずれるが、いつものような激しい生理痛がないことに驚く。

約10年近く、当たり前のように痛み止めを飲み、ほっカイロが手放せなかったことが嘘のよう。

3回目〜7回目

2回目までの施術内容の他、肩こりの施術を加える。

 

5回目と6回目の間に月経がおとずれるが、生理痛がほとんどなく、薬やカイロなしで、日常生活を過ごすことができる。足の冷えも以前ほど気にならない。

 

経過:7回目の施術の約1ヶ月後、妊娠したとの連絡を受け、施術を終了とする。

使用したツボの一例

三陰交 血海 関元 次髎

まとめ

骨盤内の血液循環の促進を目的に鍼と灸を行った結果。月経痛が軽減し、妊娠へと繋がった症例。

 

全ての不妊症に鍼灸のみで対応できるとは考えていないが、器質的異常(臓器の形の異常)がなければ、鍼灸が力になれるケースが多々あることを知ってもらいたい。

来院者

30代女性 販売員

通院期間

2,014年4月〜7月

頻度

週1回

通院回数

11回

症状

5年前より、人間関係のストレスから胃のムカツキと吐き気を催すようになり、同時期から生理が不順。

 

お腹を触ると、臍を中心に冷たく、全体的にぷっくらとしている。冷えにより、腸の動きが停滞し、ガズが溜まっていように感じた。

 

生理は、もともと28日〜30周期で規則的に訪れていたが、5年前に胃の不調を感じるようになってから、40日〜60日以上‥と間隔が空いてしまう。

 

※この来院者さまは、はじめ胃腸の不具合を改善するために来院されました。

症例:胃のムカつきと吐き気により、5年間食事が楽しめない(30代女性) 

胃腸の症状が改善したあとも、月経不順を改善するために、週に1度の施術を継続しました。

 

 

施術と経過

初回〜5回目

胃のムカつき、吐き気、食欲不振の改善を目的に、施術を週1回のペースで行う。

手足の胃腸に関する経絡上で最も反応がでているツボを選び鍼を行う。

 

経過:3~5回目の施術にかけて、徐々に、腹部の、冷えと、ぷっくらとガスが溜まったような張りが、減少していくことを確認。臍下の冷えは残る。

徐々に胃がつかえるよな不快感は軽減し、5回目の施術が終える頃には、食欲が戻る。

6回目

胃の調子がよく、ついつい食べすぎてしまう。食べ過ぎたあとは、胃が少しもたれる。

 

5回目までの施術に加え、足にある、婦人科のツボに鍼を行う。

 

また、来院者、本人がツボとお灸に興味を持ったため、自宅でもお灸を行うようにやり方を指導する。

 

経過:6回目と7回目間に生理が約2ヶ月ぶりにくる。

 

7〜11回目

生理周期を安定させる目的で7回目以降も週1回の施術を継続。施術内容は11回目まで6回目と概ね同じ。

前回の月経から、32日目にして生理がおとずれる。

 

「すっかり、鍼灸のある生活がライフワークになった」と、その後も、3週に一度、健康管理のために通院中。

 

其の都度、自宅で行うお灸の位置を指導している。

 

 

使用したツボの一例

内関 公孫 天枢 脾兪 足三里 三陰交

まとめ

この来院者は、元々、胃のムカつきと吐き気を主な訴えとして、当院に来院し、施術をうけていた。

 

胃腸の働きは、東洋医学でいう「脾の臓」が主に担っている。

 

また「脾の臓」は血液生産や、血流のコントロールを行う重要な臓腑器官でもあることから婦人科疾患との関連も深い。

 

この症例では「脾の臓」の機能を整えることが、根本的な改善につながるとシンプルに考え、施術を継続したところ、胃腸の症状の改善の後に、月経も定期的におとずれるようになった。

 

自宅で来院者本人がお灸をすえ続けたことも良い結果に繋がった要因と考えている。

 

来院者

30代女性

通院期間

2019年12月より約2ヶ月

頻度

週1〜2回

通院回数

9回

症状

2019年10月末にバイキングランチで食べすぎてから、胃のもたれと閊え感に悩まさせている。それ以来、食後は決まって、痰がからむ。

 

また、同時期より、手の痺れと胸の動悸が時折するようになり、月経周期も不順。

 

※それまでは、28日〜32日周期で定期的だったものが2ヶ月間こない。

 

近所の内科で、胃カメラなどの検査を行うも、「特に異常がみられない」といわれ、アコファイド(胃薬)を処方されるも変化なし。

 

他に解決方法がないかと、インターネットで調べたところ、当院のことを知り来院。

 

施術と経過

初回

腹部の状態を丁寧に調べ、鳩尾の硬さ。右背部の凝りを確認。

 

胃腸の働きを高め、腹部の状態にアプローチする目的で、手足のツボに鍼を行う。

 

経過:少し胃の閊え感が軽減する。

2〜5回目

2〜5回目。痰を取り除く目的で、肺の経絡と、脾の臓の経絡に鍼を行う。また、肩甲骨の間と項に鍼を浅く行い、肩背部のこりを取る。

 

経過:4回目までに1日のうちに何度も自覚のあった、手の痺れを感じる頻度が徐々に軽減する。また、胃の閊えた感じも減少。

5回目終了後、生理がくる。

6〜9回目

6〜9回目。食後に痰がまだ絡むということから、暴飲暴食により、生じた※2食毒が体内に残存していると考え、去痰※3と排便を促す目的で肺と胃の経絡上にあるツボの中から、特に反応のあるところに鍼を行う。

 

※2:食毒 消化不良などにより、おこる体の不具合を東洋医学では、「食毒」と表現し、病気を引き起こす原因の一つと考えている。

※3:体の余分な水を取り除くこと。

 

経過:施術後1〜2時間は痰と小便が多くでる。食後の痰の絡みが少しずつ軽減する。

 

9回目施術後、まだ、食後に痰が絡むことはあるが、その他の胃のつかえ、手の痺れ、生理不順が改善したので、本人の希望もあり定期的な施術を一度終了とした。

 

自宅で去痰のツボにお灸をするように指導し、その他の症状が再燃した際は、すぐに連絡をするように伝える。

使用したツボの一例

孔最 四瀆 三陰交 T11(3) T12(3)  

まとめ

初回来院時、暴飲暴食により、鳩尾がつかえた状態が続いていた。

 

鳩尾のつかえは肩背部の緊張を時に招く。そのことが手の痺れを引き起こしたと考え、施術を継続したところ、胃のつかえの軽減に合わせて、手の症状も次第に寛解がみられた。

 

また、消化器系の働きは、東洋医学でいう、五臓六腑の「脾の臓」に当たり、「脾の臓」は月経と密接な関係があると考えられている。

そのため、胃腸の環境が整ったことが、月経周期の改善にもつながったと予想される。

院長プロフィール

池内 公 1980年生まれ。

2003年 鍼灸師国家資格を取得。臨床歴20年。

 

整形外科、内科、婦人科、耳鼻科など多くの科を有する、長野県水嶋クリニックの勤務を経て、2009年鍼灸専門、「ゐろは鍼漢院」を開院。

 

現在、『一本の鍼には、一人の可能性を広げる力がある」を信条に日々奮闘中。

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