秋の養生に「梨の皮」——喘息で運動会に出られなかった、子どもの頃の自分に教えたいこと
先日、患者さんから梨をいただきました。
「実家が梨農家なんです。今年は不作で、あまり形も良くないんだけど……」
そう言って渡してくださった梨は、たしかに小ぶりでした。でも、芯の近くまで甘くて、とてもおいしかった。
食べ終えて、手元に残ったのは梨の皮。これを捨てずに、鍋に入れて煮る——今日は、そんな秋の養生法のお話です。
こんにちは。はり・きゅう専門院 ゐろは鍼漢院 院長の池内です。
実はこの記事、書きながらずっと思い浮かべていた相手がいます。子どもの頃の、私自身です。
この記事の要約
秋になると、喉の乾きや咳、肌のカサつきが気になる方へ。
梨1個分の皮を、水で15分ほど煮出して飲む——東洋医学ならではの秋の養生法をご紹介します。
作り方、氷砂糖を入れるときの注意、飲む時期の目安(立秋〜立冬)を解説させていただきますので是非、最後までお読みください。
子どもの頃、秋になると喘息に苦しんだ私が「あの頃の自分に教えてあげたい」そんな思い浸りながらこの記事を書きした。

この記事を書いた人
池内 公(いけうち いさお)/ゐろは鍼漢院 院長。はり師・きゅう師。臨床歴20年以上。病院勤務で内科・整形外科・耳鼻科などの現場を経験し、2009年に我孫子市で開院。「一本の鍼には、一人の可能性を広げる力がある」を信条に、日々奮闘中。
特に秋が辛かった子どもの頃
物心ついた頃から、私は喘息(ぜんそく)を患っていました。
発作が出やすかったのは、季節の変わり目。中でも秋——夏休みが明けた頃と記憶しています。
ゼーゼーと呼吸がつらいのはもちろんですが、咳のしすぎで、肋骨(ろっこつ)をはじめ、体のあちこちが痛く、夜は特に発作が強くなりました。
夏休み明けに開かれる運動会に、出られなかった年もあり、同級生が走る日に、自分は出られない。子供心に寂しい思いをしたことを今でも覚えています。

季節の変わり目以外では、寒暖差の大きい日。風邪の治りかけ。そういうときにも、発作は顔を出しました。
中学1年で、鍼灸に出会って
転機は、中学1年のときです。地元で、良い鍼灸の先生に巡り合いました。
3か月ほど治療を受けるうちに、私の場合は、徐々に発作が起こらなくなっていきました。それから、今日まで何年も、発作は出ていません。
(※これは私自身のひとつの経過です。)
それでも、いま思うのです。もし秋に苦労していたあの頃の自分に会えたら、そっと教えてあげたい方法がある、と。
それが、今回ご紹介する「梨の皮」を用いた養生法です。
秋は「燥(そう)」の季節——東洋医学の見方
秋になると、空気が少しずつ乾いてきます。洗濯物がよく乾く。唇がかさつく。朝起きたとき、喉がいがらっぽい……。
東洋医学では、この秋特有の乾燥を「燥氣(そうき)」と呼びます。
そして秋は、「肺(はい)」つまり、呼吸器と関係が深い季節と考えられています。ここでいう「呼吸器」とは、肺だけではなく、喉や鼻から、皮膚の状態までを意味しています。
つまり秋は、乾燥に影響を受けやすい呼吸器にまつわる不具合が出やすい時期といえます。
- 喉が乾燥する
- 咳が気になる
- 肌がカサカサする
- 髪が抜けやすくなる
乾いた落ち葉は、手で握るとパリッと崩れます。青葉のうちは、しなやかに曲がる。
自然界の木々が葉を落とすように、人の体も乾燥の影響を受けやすい。喉や気道がしっとりしていてこそ、呼吸は楽にできる——そう考えると、秋に呼吸のトラブルが出やすいのもなんとなくイメージが湧きませんか?
そんな秋の養生として、昔から使われてきたのが今から紹介する「梨」を用いた方法です。東洋医学の考え方では、梨や氷砂糖は「肺(呼吸器)を潤す」目的で用いられることがあります。
特に、梨の皮を煮出して飲む方法も、季節の養生法のひとつとして伝えられています。私がこの方法を教わったのは、今お世話になっている師からです。
作り方——梨は「皮」を使います
用意するのは、梨1個分の皮。
実の部分はあってもなくても構いません。梨を食べたあとの皮だけでもOKです。または、梨を皮ごと4等分ほどに切り、中心の芯の部分を取り除いて使います。
梨の皮の煮出し方
① 梨1個分の皮を、水1〜2Lに入れます。
② 水から中火で煮て、沸騰したら弱火にします。
③ そのまま15分ほど煮ます。
④ 火を止めたら出来上がりです。
煮終わった梨は、無理に食べなくても大丈夫です。
味は、皮だけだと、ほんのり甘い。正直に言うと「おいしい!」という飲み物ではありません。でも、飲みにくくもない。そのくらいの、やさしい味です。

咳が気になるときは「氷砂糖」
咳が気になる場合は、氷砂糖を加える方法もあります。目安は、1.5〜2cmほどの氷砂糖を2個程度。
先ほども触れたように、東洋医学の考え方では、梨も氷砂糖も「肺を潤す」目的で用いられることがあります。
※糖尿病などで糖分を控えている方は、氷砂糖は入れないでください。
ちなみに私はこれまで、皮だけで作ることがほとんどでした。今年は、氷砂糖を入れたものや、実ごと煮たものも試してみようと思っています。
飲む時期は「立秋〜立冬」
目安は、立秋(りっしゅう)から立冬(りっとう)まで。暦の上で秋がはじまり、冬に入るまでの期間です。ちょうど夏から秋、そして冬へと移り変わっていく時期にあたります。
季節の変わり目は、体にもさまざまな変化が起こりやすいとわれますが、子どもの頃の私がこの時期に苦労したのも、今思えば、燥気についていけていなかったのかもしれません。
旬の梨を上手に取り入れながら、体も少しずつ季節へ適応できるような体を手に入れることができたらいいですね。
おわりに——あの頃の自分へ
夏休み明けの運動会に出られなかった、あの頃の自分に会えたら。「秋になったら、梨の皮を煮て飲んでみるといいよ」と、そっと教えてあげたい。
乾いていく季節に、体をほんの少し潤し順応する。そういう小さな養生を、子どもの頃の自分は知っていたらと思うのです。
今回の記事の内容が、読んでいただいた方の快適な秋の一助となれば幸いです。
※こちらは東洋医学に基づく季節の養生法のご紹介です。咳が長く続く場合や、息苦しさ・発熱などの症状がある場合は、まず医療機関を受診してください。喘息と診断されている方は、処方されているお薬を自己判断でやめないでください。
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