背部痛
来院者
60代男性
通院期間
2021年1月
頻度
毎日
通院回数
2回
症状
引っ越しで荷物を詰めたダンボールをいくつもトラックに乗せる作業をした日の晩から、右の肩甲骨から、背中にかけて痛みが出現。横になって休んでいても、痛みで一晩眠れないほど辛かった。
翌朝になっても痛みが引かないため、家族の勧めで来院。
右の背中から肩甲骨にかけて、手をかざすとムンムンと熱がこもっているのがわかった。
経過と施術
初回:重い荷物を持つことにより、肩甲骨を支える筋肉に炎症が起きたと考え、前腕のツボに鍼をおこなう。
経過:施術を受け帰宅するころになると、すぅーっと痛みが引いていく感覚を覚えた。前日の夜から痛みで眠れなかったこともあり、床につくと3時間ほど熟睡できた。
昼寝から目覚めると、痛みが半分以上軽減していることに気がつく。
2回目:肩甲骨周辺から背中にかけて、熱のこもった感じは無くなっていたが、筋肉のこわばりが残っていたため、背中に鍼を3箇所に打ち、後に前腕に鍼を1本行い2回めの施術を終了した。
1週間後、症状がすっかり消え、夜も眠れるとの知らせを電話で確認し施術を終了とした。
使用したツボの一例
手三里R 孔最R
まとめ
腕の動きに大きく関わる肩甲骨は、鎖骨と僅かに連結するのみであとは、筋肉で支えられている。そのため、重い物を持つ作業は、肩甲骨周辺から背中にかけて痛めることが少なくない。
本症例では、腕と肩甲骨の構造としくみから、施術するポイントを定めることで速やかな改善がみられた。
来院者
40代女性
通院期間
2020年7月~8月
頻度
週3回
来院者
3回
症状
3日前の昼間に背部に違和感を覚え、その後、夕方にかけて、じわじわと痛みが強くなっていった。思い当たる原因はなし。
車の乗り降りなどの体位変換だけではなく、しゃっくりや、深呼吸、食べ物の飲み込みで背中にピリッと痛みが走る。
また、患部に圧力がかかると、激痛が起きるため、仰向けでねることができない。
来院者
初回
体位変換だけではなく、呼吸などをしても痛みが患部に走ることから、横隔膜の高さの脊柱起立筋の硬さを調べたところ、右側に顕著なコリが確認できた。
同部位を緩める目的で、右肘のツボに刺鍼したところ、確認したツボの硬結が柔らかくなった。
その後、深呼吸を行い、背中の痛みを確認してもらったところ、症状が軽減していることに気がつく。
2~3回目
初回後、深呼吸による背中の痛みはほとんど気にならなくなったが、仰向けで寝ると痛むため、背部のツボに鍼を行った。
また、仰向けで寝転んだ時の背中の痛みは、右膝を立てると、軽減するため、大腰筋の問題も考慮し、足の甲に鍼を一本売った。
同じ施術を3回目も繰り返し、症状をほとんど感じなくなったので終了とした。
使用したツボの一例
天井R T7(1)R T8(1)R 懸鐘R 大腰R
まとめ
本症例のように、痛みのきっかけや、予兆なく、症状が発症したケースでも「どのような姿勢で痛むのか」を確認することにより、施術するべき場所が見えてくることが多い。
発症、早期に施術を開始したことも早期回復の助けとなった。
院長プロフィール
池内 公 1980年生まれ。
2003年 鍼灸師国家資格を取得。臨床歴20年。
整形外科、内科、婦人科、耳鼻科など多くの科を有する、長野県水嶋クリニックの勤務を経て、2009年鍼灸専門、「ゐろは鍼漢院」を開院。
現在、『一本の鍼には、一人の可能性を広げる力がある」を信条に日々奮闘中。