また同じ病名や症状であっても効果には個人差があります。
股関節痛
来院者
40代女性
通院期間
2020年6月~2020年6月
通院期間
週2回
通院回数
4回
症状
3年前より、右鼠径部に痛みがあり、椅子から立ち上がる動作が辛い。
整形外科でレントゲン検査を受け、「異常なし」と言われたが、
最近では、鼠径部だけではなく、股関節の横や、大腿部の付け根まで痛むようになった為、鍼灸を希望し来院。
施術と経過
初回
足を胸にひきつける動作を行ってもらうと、左足に比べ、右足の動きに制限があり、鼠径部に詰まるような違和感を自覚した。
股関節を調節するため、右足の甲に鍼をしたところ、動きがスムーズになり左右差がなくなった。
状態をさらに改善し安定させるために、腰のツボに処置を加える。
経過:施術直後、施術ベッドから、痛みなく立ち上がることができたので驚く。
2回目
鼠径部の痛みは軽減したが、太ももの内側が新たに気になるようになる。
手にある大腿部と関係の深いツボを確認したところ、強い緊張が確認できたため、そこに鍼をした。
経過:翌日、大腿部内側の痛みが消失。
3回目
大分調子が良くなり、椅子から立ち上がる時の怖さがなくなる。
4回目
鼠径部の痛みの他、股関節横、大腿部後ろの症状も改善したため、施術を終了とした。
※3回目・四回目は初回と施術内容同じ。
使用したツボの一例
R中腰 R志室 R合谷
まとめ
慢性的な股関節痛であったが、症状を誘発する動作と体の構造から、必要な施術ポイントを厳選することで、短期間で改善が見られた症例。
来院者
70代女性
来院者
2019年11月~2019年12月
頻度
週2回
通院回数
7回
症状
2ヶ月前より、右股関節に違和感があり、朝起床時や、体の右側を下にして横向きに寝ている時、体を右側に倒した時に痛みを感じる。
一度痛みを感じても、歩いていると次第に楽になるため、2ヶ月間様子をみていたが、最近では、徐々に痛みが強くなって来たため、施術を希望し来院。
施術と経過
初回
股関節の動きには臀部の緊張が深く関係していると考え、臀部の緊張を緩める目的で膝横のツボに鍼をした。
2回目
初回3日後。
症状に変化なし。
来院者より「トイレで力む時に、足の付根に痛みを感じる」という新しい情報を得る。
腹圧をかけた時に腰部の緊張が強いと、股関節に痛みが起きやすいという施術担当者の臨床経験から、腰のツボに鍼を行う。
3回目
2回目3日後。
起床時の痛みが消失。股関節の痛みを感じる事なく、1日をスタートできるようになった。横向きに寝た時や、体を倒した時の痛みも軽減。しかし、痛みの範囲が「ぼやっと」広がったように感じる。
4回目
3回目の施術以後、体を右側に倒した時の痛みに変化がないため、それまでの施術に、体幹を整える目的で肩甲骨の内側のツボに鍼を加える。
5~7回目
体を倒した時の痛みが大幅に軽減。以後7回目まで同じ施術を継続したところ、痛みが消失し、問題としていた、臀部や腰部周囲の筋肉の緊張も取れていたため施術を終了とした。
使用したツボの一例
玉竧R 志室R 六丘R 四枢R
まとめ
股関節の動きには腰臀部だけではなく、肩甲骨周辺と関係が深い。
起床時に起こる痛みは、施術開始後すぐに、改善が見られたが、上体を倒した時の症状の変化は乏しかった。
そこで、肩甲骨周辺の動きも原因があると考え、施術内容を考えたところ、徐々に改善が観察された。
来院者
70代男性
通院期間
2019年11月~2019年12月
頻度
2回目 初回翌日
3~5回目 週2回
6回目 5回目施術の1週間後
通院回数
6回
症状
来院2週間前に、右鼠径部あたりに、痛みに近い違和感を覚える。
その時は、歩行すると其の違和感が薄らいでいたので、意識的に毎日歩くように努めていた。
来院1週間前の朝、いつもなら、ウォーキングをすると薄らいでいた股関節の違和感が4000歩いたあたりから、強くなり、昼頃より、歩けないほどの痛みが右股関節から右膝にかけて感じるようになった。
それから、来院当日まで眠れないほど痛みが酷く、歩行も困難。来院2日前より、左の足裏に痺れを感じるようになる。
近所の整形外科でレントゲン検査の結果、腰の骨には異常なし、原因不明と告げられる。
50年前腰椎ヘルニアの既往あり
施術と経過
股関節の前(鼠径部)と膝をそれぞれ個別に動かしてもらうと、いずれも単独の動き(股関節を曲げる動作・膝を曲げ伸ばしする動作)で痛みが誘発されことを確認した。
そのことから、股関節・膝関節の2つの関節に問題があると考え、過去に患った、腰椎ヘルニアの関与の可能性は除外し施術方針を考えた。
初回
股関節前面の緊張を緩める目的で拇指横にあるツボに鍼を行いこの日は施術を終了とした。
経過:股関節を曲げる際の鼠径部の痛みは軽減。夜眠れるようになった。
膝の痛みには変化なし。(膝の曲げ伸ばし、また、階段を降りる時に膝に痛みを感る。)
2~5回目
初診の施術に加え、膝の症状を改善する目的で膝の動きと関連の強い、臀部と脊柱際のツボの反応を確かめ鍼を行う。
施術を受けるごとに、股関節、膝の痛みは軽減し、5回目施術時には、日常生活が痛みのストレスを感じることなく送れるようになる。
1週間様子経過観察。
6回目
ウォーキングを毎日5000歩いているが、症状の再燃なし。
セルフケアの体操を指導し、その後は、再発予防と健康増進のため、3週間に1度通院中。
使用したツボの一例
中腰R T9(1)R T11(1.5) R
まとめ
腰痛の所見がなくても、下肢の症状は腰が原因でおきることが多い。
しかし、本症例は、歩行時にかかる負荷が股関節、膝関節の両関節にかかり生じていると考え、施術を繰り返したところ、症状に改善がみられた。
来院者
来院者
30代男性 飲食業
通院期間
2020年4月~
頻度
週2~3回
通院回数
3回
症状
来院の3日前に、腰に違和感を覚えその後、徐々に違和感が痛みに変化した。思い当たる原因なし。
腰をかがめ、物を持つ動作や、右足に体重をかけると、痛みが増悪。
その他、右股関節前面に同時期より、右足を上げる動作で詰まるような違和感が出現。
もともと、腰に疲労感を感じることが多く。一年に一度の頻度で、ぎっくり腰になる。
施術と経過
初回)痛みの場所と痛みを誘発する動作から、使用するべきツボの反応を調べ。右腰とふくらはぎ、足の甲のツボに鍼を行った。
2回目)初回翌日来院。腰の痛みと股関節の違和感は、初回帰宅後、9割がた、消失。
日常生活は問題なく行えるようになる。初回と同じ内容の施術を行い、1週間、経過観察をしてもらう。
3回目)2回目以降、1週間、症状の再燃なく、腰周辺の緊張も和らいでいたため、再発予防のストレッチを指導し、施術を終了とした。
使用したツボの一例
志室R 飛揚R 中腰R
まとめ
発症後まもなく、施術を開始することで、早期に改善が見られた症例。
来院者
60代男性
通院期間
2019年7月〜2019年8月
頻度
週2回
通院回数
7回
症状
半年前にゴルフの練習後より、右肩の痛みを発症。
朝方、同部位が疼くため早朝に目が覚める。
手を伸ばしたり高いものを取る時に右肩の前部に痛みを感じる。
それに伴い、以前より違和感を感じていた、右股関節が、歩行時に痛みを感じるようになる。
歩き始めは、然程気にならないが、歩く距離が長くなるにつれ、徐々に痛みがつよくなる。
その他、右手示指、中指に痺れあり。
半年間、マッサージや整体に通ったが、変化がないので、知人の紹介で来院
施術と経過
初回)肩の前部の筋肉を緩める目的で、背中で反応が顕著であったツボと、肩甲骨の外側のツボに鍼を行う。
経過:初回後2〜3日は調子が良かった。
2回目)初回のツボに加え、下肢にある肩と関わりの強いツボにに鍼を行ったところ、左肩まで響く感じがあり、施術直後から、スーっと痛みが軽減した。
経過:施術後2〜3日で痛みが再燃。
3〜5回目)
施術を重ねる度に、手を上げる姿勢がスムーズに、痛みなくできるようになる。
指の痺れも4回目以後消失。しかし、施術後2日立つと少しずつ痛みが再燃する。
6〜7回)
肩と股関節の動きに関わる足首のツボに鍼を行う。施術後歩行を確認すると、右股関節の動きがスムーズになり、肩も、今まで以上に楽になる。
経過:7回目の施術後、1週間経過をみてもらい、症状の再燃がないため、週2回の定期的な施術を終了とした。
その後は再発予防と健康管理のため、3週間に1度通院中。
まとめ
肩関節と股関節の形は構造上よく似ている。
そのため、歩行時など、手足の運動の際は協同して動くことが多く、一方の関節の動きは他方の関節に影響を及ぼしやすい。
本症例は、以前より抱えていた、股関節の症状を改善することが肩関節の症状改善の決め手となった症例。
院長プロフィール
池内 公 1980年生まれ。
2003年 鍼灸師国家資格を取得。臨床歴20年。
整形外科、内科、婦人科、耳鼻科など多くの科を有する、長野県水嶋クリニックの勤務を経て、2009年鍼灸専門、「ゐろは鍼漢院」を開院。
現在、『一本の鍼には、一人の可能性を広げる力がある」を信条に日々奮闘中。