手首の痛み
来院者
60代女性 ピアノ講師
通院期間
2023年3月〜4月
頻度
週2回
通院回数
6回
症状
症状は1年以上前から右手の親指に強い張りと痛みがあり、指を曲げ伸ばしすると「カックン、カックン」と引っかかる。
はじめは右手のみだったが、徐々に左手の親指も同じ症状が現れるようになった。
特に朝、起きた時に強い張りを感じ、タオルを絞る動作やドアノブを回す事が困難。
仕事でピアノを弾くことが週に数回あり、ここ最近は、痛みと強張りの為、上手く弾くことができない。
過去に整形外科で「ばね指」と告げられ、2度のステロイド注射を受けたが、改善が見られなかっ為、鍼灸を希望して来院した。
【その他の症状】
・両手首の痛みと腫れ(雨の日と冬に腫れることが多い。)
・腰痛
経過と施術
初回
指や手首の動きと関係の深い胸椎と肩甲骨を観察すると胸椎の1番と7番の動きが悪いことがわかった。
使用したツボ:C7(1)R T1(1)L T7(1)R T8(1)R
経過:上記の胸椎にあるツボに鍼をしたところ、直後より、親指のカクカクと引っかかる感覚が少なくなり、スムーズに動かせるようになる。
2~4回目
初回の3日後来院。初回の翌日。左母指の引っ掛かりは、ほとんど感じなくなり、痛みも軽減。右手の親指の引っ掛かりと痛みは残る。
2回目以降は、胸椎だけではなく、肩甲骨に動きをつける目的で施術を行う。
使用したツボ:T7(1)L T(1)R 八稜R
4回目の施術が終える頃、元々あった、腰の痛みも軽くなっていることに気がつく。
左母指の痛みと強張り※VAS10→1.5(85%減)。 母指に関しては、VAS10→0.5(95%減)。
※VASとは、来院者さま本人の主観で苦痛を数値化した評価方法です。
本症例の場合、「痛み」と「指の強張り」を合わせて評価の対象とし、初回施術開始前を「10」としました。
例えば【VAS10→5】は、「痛み」と「指の強張り」が共に、施術開始前に比べ半減した事を意味します。
5〜6回目
5回目終了の時点で左右とも母指の痛み・朝のこわばりが全く感じなくなったということで6回目で最終調整をし、施術を終了とした。
使用したツボの一例
T7(1) T8(1) 八稜 陽輔 懸鐘
考察
指の構築な動きには手首・肘・肩甲骨・脊椎など、多くの関節が関わっています。
本症例では、脊椎(胸椎)と肩甲骨の動きに制限がある事が指先の自然な動きを妨げ、症状を引き起こしていると考えました。
結果、計6回の施術で卒業となりました。
使用したツボは腰にも強く作用するため、副次効果として腰痛の軽減もみられました。
来院者
40代男性
通院期間
2023年7月
頻度
週2回
通院回数
3回
症状
2ヶ月前から右踵のあたりに痛み出現。
長く歩いた翌日の朝、起床後の第一歩がとても痛い。その後、朝から昼にかけて、無理をして歩いていると徐々に痛みは和らいでいくが、椅子などに長時間すわって、足を休めた後は、立ち上がりの時に再び痛みを感じる。
その他:胸郭出口症候群スマホを操作していると、右肩から手にかけてしびれる。
経過と施術
初回。踵から腰にかけて、調べると右の仙腸関節の硬さが目立っていた。
腰したのツボ(上髎)に鍼を打ち、腰から、踵にかけての突っ張りが軽減していることを確認した。
2回目:3日後来院。初回施術後。特に変化なし。朝の第一歩も、変わらず痛む。
胸郭出口症候群が元々あることから、首から胸郭も問題を疑い、右の首にあるツボに鍼を行う。
翌朝、ベッドから起き上がり床につく第一歩に痛みが軽くなっていることに気がつく。
3回目:同じく、首のツボに鍼を行い、首肩のストレッチを指導し、施術を終了とした。
使用したツボの一例
上髎R C1(2)←首のにあるツボ
まとめ
踵などの足裏は、人の体重を受け止める要所であるが、人は膝から腰、背骨の柔軟性により、その負荷を緩衝している。
そのため、膝や腰、背骨のどこかに、問題を抱えると足裏への衝撃に対する負荷分散が行えず症状の原因となりやすい。
本症例では、胸郭出口症候群の既往歴から、首の問題を考え、施術を行うことで、速やかな改善がみられた。
来院者
30代男性
通院期間
2021年11月〜12月
頻度
週1回
通院回数
6回
症状
数年前に腕立て伏せをしてから、左手首が痛くなった。それから、手首を上下に動かす動作がスムーズにできなくなり、趣味のドラムをうまく叩けない。
日常では、床に手をつく動作で痛みが誘発される。
その他の症状:肩こり
経過と施術
初回:)手首の動きと、痛みの場所から、肩甲骨の外側と鎖骨周辺に原因があると考え、反応点に鍼を行った。施術後、手首の動きが滑らかになり、その状態が1週間続いた。
2〜4回目)初回の施術に加え、手首の緊張を緩和する目的で手の甲に鍼を行う。
劇的な改善は見られないものの、2回、3回と施術を繰り返して受ける事に、症状が徐々に改善。
4回目施術を終える頃には、6割がた痛みが消失。
5〜6回目)
5回目施術終了後、手首の上下運動もできるようになり、趣味のドラムをストレスなく叩けるようになる。
日常生活はもちろんの事こと、趣味のドラムも十分できるまで回復したため6日目の施術を持って、卒業とした。
使用したツボの一例
巨骨L 支正L 府蔵三L
まとめ
手首の症状は、きっかけは様々であるが、隣り合う指の関節の間に適度の隙間がない場合や、肩鎖関節(肩甲骨と鎖骨)の遊びがない場合に起きることが多い。
これらの問題点から、必要なツボを洗い出し、施術を続けることで、徐々に回復が見られた症例。
症状
【症状】母指から前腕にかけての痛みと腫れ
【病歴】1週間前より、肘先から手首にかけて痛み、腫れを伴う。
整形外科でレントゲンで調べたところ、骨に異常はないとの事だった。親指の曲げ伸ばしで、母指だけではなく、手首~前腕が痛む。
左腕と比較しても、全体的に熱を持ち、腫れているのがわかる。
指先にしびれはない。手首を動かすと痛みが再現、増悪。首、肩や肘の運動に伴う痛みの増悪はなし。
来院者
50代女性
来院者
2017年3月〜
頻度
週2〜3回
来院者
4回
施術と経過
初回~2回目
痛みを最も感じる、右前腕の中指のラインと関わりの深い、肩甲骨周辺、及び母指と関わりの強い胸椎にある硬結を確認し、それぞれの場所に刺鍼。
痛みの場所が、中指のラインから、母指のライン(親指側)に移動したので、同じく肩甲骨外側にある硬結に刺針。施術の翌日、動きによる痛みが半減。帰宅後から翌々日にかけて腫れも徐々に引く。
3回目
痛みの場所が、中指のラインから、母指のライン(親指側)に移動したので、同じく肩甲骨外側にある硬結に刺針。施術の翌日、動きによる痛みが半減。帰宅後から翌々日にかけて腫れも徐々に引く。
4回目
腫れも引き、痛みを感じないということなので、3回目と同じ処置を行い、一度施術を終了する。
その後は、健康増進と再発予防の目的で3週間に1度通院中。
使用したツボの一例
府蔵3R 府蔵1R T1(1)R
まとめ
本症例は、指の腱鞘炎の症状だけではなく、前腕の痛みと腫れを伴っていた。
指先や手首付近におこる腱鞘炎と違い、患部は広範囲であったが、
痛みを誘発する動作が明確であったため、施術ポイントを正確に鑑別することができ、施術を行うごとに症状の変化を観察することができた。
発症1週間と比較的新しい症状であったことも短期回復の大きな要因である。
来院者
男性 30代 理容師
来院者
2019年12月 ~ 2019年12月
頻度
週2~3回
通院回数
7回
症状
仕事で1日中腕を使うせいか、半年前から、指を動かす度に、前腕に痛みが走る。
腕の痛みが酷くなると、握力がなくなり、注意していないと物を落としてしまう。指もこわばり、紙をつまむ動作もどこかぎこちなくなる。
脳神経外科でMRI検査を受けたところ、「異常なし。気のせいでは?」と担当医から言われ、しばらく様子をみていた。
しかし、ハサミを握れないなど、仕事にも支障をきたすため、真剣に解決策をさがしていたところ、友人の紹介を経て当院に来院。
施術と経過
初回)腕の動きと脊椎の硬さを調べたところ、上部胸椎(肩甲骨の高さに位置する背骨)と肩甲骨の外側に異常なコリを発見。
コリが最も強いと感じた3点に鍼を行いこの日は施術を終了とした。
初回後の経過:初回施術後。痛みが僅かに軽減。
2回目)初回施術後、2日ほどは前腕の痛みも少なく、仕事も集中できたが3日後から、痛みが少しずつ再燃。
初回で確認した、肩甲骨外側と、上部胸椎周辺への処置に加え、手指の間のツボに針をする。
2回目後の経過:LINEで腕の痛みがすっかりとれたと連絡を受ける
3回目)腕の痛みはほとんど気にならなくなったが、指のこわばりや、手洗い後、指の雫を振り払う動作で手首より先に痛みを感じる。
施術のポイントは同じと考え、上部胸椎、肩甲骨周辺のコリに鍼を以後、7回目まで、行う。
コリが小さく柔らかくなるにつれて、症状も軽減し、仕事も苦痛なるできるようになった。
以後再発防止のため、一ヶ月に一度、施術を継続。
まとめ
院長プロフィール
池内 公 1980年生まれ。
2003年 鍼灸師国家資格を取得。臨床歴20年。
整形外科、内科、婦人科、耳鼻科など多くの科を有する、長野県水嶋クリニックの勤務を経て、2009年鍼灸専門、「ゐろは鍼漢院」を開院。
現在、『一本の鍼には、一人の可能性を広げる力がある」を信条に日々奮闘中。